映画「ハゲタカ」 Vol.7
5週目です。
地方はそろそろ上映終了とか。
でも、東京23区内繁華街の映画館の週末は、まだまだたくさん入ってます。
私が週末行った時も、ほぼ満席でした(ぽつぽつしか空席なし)
雰囲気でかなりリピーター率高し、とみました。
今後も都内のどこかでやっていたら、足を運ぶ人多いと思います。
そして、こうなってくると欲も出てきます(笑)
週末に、ドラマ版全6話プラス映画版上映、などという企画モノをやる映画館が出てきてもいいんじゃないでしょうか?
オールナイト込みで日に2回くらいしか上映できないかも、ですが。
でも、入場料設定が高めでもきっと来る人はいるぞ!とみました(かくいうワタクシも!(大笑))
東宝さん、NHKさん、映画館のみなさま、ご考慮お願いします!!
当ブログは純粋な映画レヴューではありませんが、映画「ハゲタカ」の内容に結構踏み込んでおりますので「ネタばれあり」の「注意喚起」をさせていただいております。
2008年、秋。
「今回の金融危機はすべて、青い眼で白い肌のCEOたちに責任がある!」
と過激な発言をしたのは、ブラジルのルラ・ダ・シルバ大統領。
たしか、金融危機対応のためにG8じゃ間に合わん、ということで新興国も入ったG20金融サミットが開かれた11月15日前後のことだったと思います。
ルラ大統領のこの発言は「人種差別的」と逆差別レッテルを貼られてしまい、彼は早々に謝罪するはめに陥ったのですが、
「新興国ならびに開発途上国が、先進諸国に対して、猛烈に怒っている」
ということがはっきり示された機会でもありました。
いまや、開発途上国と先進諸国のあいだに大きな断絶が横たわっているのは明白です。
先進諸国がこれまでやりたい放題をしてきて、その「欲望」がついには危機的状況を呼びこんで、世界的な金融メルトダウンの淵まできた。
だが、いったん危機が始まれば、一番弱い部分にその「負荷」が強烈にかかってくるのが、「グローバリズム」で結ばれた現在の世界。
世界的不況が始まって、飢餓線上に陥る可能性も出てきた開発途上国の人々。
彼らが「もはや泣き寝入りする気は全然ない」と猛烈に主張し始めた。
言ってみれば、貧困から抜け出すために、
「その車に乗せてくれ」
と言い始めたこと。
でも、間違った車に乗り込もうとしていたら、どうするのか?
あるいは、車は正しくても、その車を作る方法が間違っていたら?
売る方法が間違っていたら?
先をゆく者たちが、自分たちの失敗を、あとから来る者たちに伝えられない。
彼らが選び間違えていても、そのことを彼らに伝える機会がない。
たとえ世界中に公害に苦しむ都市が生まれ、貧困のスラムが生まれ、絶望的な格差社会が生まれても…
その「絶望的な分断」が、現在の世界を支配している。
ルラ大統領、あなたは概ね正しい。
ただ、「青い眼で、白い肌のCEOたち」だけではない。
その責任は「黒い眼で、黄色い肌の社長たち会長たち」にもあるのだ。
そんな風に、私は思いますが。
日本はかつて第二次世界大戦で無謀な戦いをして、主要都市を「焼け野原」にするという愚行のすえ、敗戦。
戦後の復興はもう二度と戦争をしない、というところから始まった。
「けして人を殺さないで強くなること」
それはつまり、
「戦争をしないで経済的に繁栄すること」
日本の一大テーマだった。
そのポリシーに従って、日本は今日までやってきたわけです。
そして、世界2位の経済大国、先進諸国の一員となった。
確かにこれまでのところ、日本は国内をふたたび「焼け野原」にしないですんでいる、幸いにも。
でも、一旦、日本国外に目を転ずれば、実は「焼け野原」は世界の隅々に出現している。
よく知られていることですが、アメリカが開発し、グローバリズム推進の道具としてきた「金融工学」は、実は「東西冷戦の兵器」のなれの果てです。
アメリカがソ連と「冷戦」を戦ってきた時代。
戦争(特に核戦争)のためのシュミレーションをやるために、大量の数学やらシステムやらが動員され、人的にも財政的にもたいへんな資源・資金の投入をおこなってきたわけです。
ところがソ連が崩壊、ロシアも東ヨーロッパも共産主義を捨て去って、資本主義陣営に参入してきた。
もはや冷戦シュミレーションは無用の長物。
なのに、人間も組織も大量に存在している。
そこで、金融界に転じて、軍事の民生転用をすることにする。
そして誕生したのが「金融工学」
その「金融工学」が生み出した「証券化」の魔法が、アメリカを並ぶもののない世界ただひとつの「超大国」にしたわけですが、同時に、それは一種の砂上の楼閣、ひとたびバブルがはじけ飛んだら…
世界を巻き込んでたいへんなことになっているのが、現在。
やはり、これは「兵器」なのですから。
富を収奪する兵器。
疑いもなく、
世界に「絶対的貧困」という「焼け野原」を出現させてきた兵器。
その「金融工学」に力を貸してきた日本が、「責任ない」とは絶対に言えない。
それを日本経済の「罪」というか。
あるいは、先進諸国の「罪」というか。
その「罪」から、目を背けることはできない。
鷲津政彦の壮絶な人生に、またひとつ付け加わってしまった、と人は言うでしょうか。
鷲津さんファンとしてはその痛ましさに胸が詰まりますが…
しかし、彼は絶対に目を背けない。
だから、映画ラスト、劉一華の故郷に見届けに行く。
ふつう、日本人なら見たくないもの、知りたくないもの、
自分たちが作り出した「焼け野原」を。
ひとり、荒野に立つ鷲津の眼に映ったものは何だったのか。
過去、無謀な戦争をして焼け野原になった日本国だったのか。
あるいは、現在、世界中に存在する、絶対的貧困の焼け野原だったのか…
しかし、未来。
ふたたび日本が「焼け野原」になることはないと、いったい誰に言えるだろうか…?
なにも日本国の外だけではなく、国内だって同様なのです。
「ハゲタカ」ドラマ版ではラスト、熟練工の加藤と協力して新会社を立ち上げるのに、映画版の中で、鷲津や芝野はついに派遣工の守山に直接会う機会はない。
それどころか、守山は加藤にあたる人物に出会うことさえできない。
「部品」として消耗され、同じ国に生きていながら、まるで存在しないかのような扱われ方をする存在。
本当は加藤のような人たちの「後継者」にならなければならないはずなのに。
そんな状況で「日本の本業はモノ作り」と言ってみても、虚しいだけ。
はっきり言って、これはもの凄くマズイ状況です。
映画「ハゲタカ」では、守山の最後は「アカマの赤い車」に乗って何処ともなく去っていきますが、これは守山が劉の「願い」を受け取って新しいスタートを切った、と解釈していいものか。
それとも「日本人の夢と希望の象徴だった赤い車」はその後継者となるべきだった青年とともに、何処かへまぎれて消えていってしまった、と解釈していいものか。
私には、今は、決めかねます。
はっきり言って、楽観的と悲観的、天と地ほども違う解釈ですが。
映画「ハゲタカ」公開の少し前。
カントクだったかプロデューサーだったか、制作された方が、
「安易な解決は描けない。現実が厳しい状況だから。でもその中で観終わって元気になるものを」
というような内容のことを言っておられたかと記憶しています。
経済的に厳しいということだけじゃなく、分断されて、けして交わらない状況が厳しい。
永遠の断絶感。
国内でも国外でも、それが溢れている状況が厳しい。
この映画をラストまで観て、そう思います。
回数を重ねて観るほどに、本当に思います。
なんとか、この状況の「ブレーク・スルー」を見つけ出せないものかと、切実に思います。
おそらく、映画の制作者さまたちもそう思っておられるのだと痛いほどわかります。
そして、
映画の中の鷲津も。芝野も。
きっと。
芝野に言わせてますよね。
「このまま終わってたまるか。まだまだこの国は捨てたもんじゃない」
だから、もう1本作ってください!!
この映画「ハゲタカ」の続きを。
また数年後に。
鷲津が見つめている先が観たいから。
どんな厳しい未来でも、きっと彼は眼を背けない。
きっと彼は立ち向かっていく。
新しい方法を見つけ出していく。
そして。
彼の行く道は、私たちの行く道。
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コメント
本当にありがとうございます。
nyan-chan2222様のレビューを拝見したあと何回か映画に行き
新たに感慨深く見ることができました。
2週間に3回ほどは観に行ってるような気がするんですが・・・
何回観に行ったのか、もう数えるのやめました(笑)
自分的には「ハゲタカ祭」の6〜7月でしたね。
nyan-chan2222様の「分断」という言葉に、
つい最近身近なこととして、その恐ろしさを体験しました。
あくまでも個人的なスケールのことですが・・・(苦笑)
共感力や想像力の低い人物が組織のトップ・社会や国の重要な位置につくのは危ういことだと。
どんなに素晴らしいシステムで構築された組織であったとしても、それを活かすことができない・・・。
私は現在の世界や社会の至る所にみられる「分断」の根っこには
他者への共感力、想像力の欠如が大きく影響しているような気がします。
だから余計に鷲津さんや芝野さんに魅力を感じるんでしょうね。
私が通う映画館でもこの7月10日で
上映が終わるそうなのでちょっと残念です。
あと2回ぐらいは行きたいんですが・・・
暇はいっぱいあるんですが、¥がなぁ・・・(泣)
投稿: 室井くまたん | 2009年7月 6日 (月) 20時32分
室井くまたんさま、こんにちはでございます~!
長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございます~。
独断と偏見のつたない感想文ではありますが、何かの参考になれば幸いでございます
確かに、今の日本の指導者、他者への共感力や想像力が足りてないかも、ですね~。
鷲津さんや芝野さんがいて欲しいですね。
どこかに潜んでないか?一億二千万人もいるんだから!とか思ったり(苦笑)
世界はこれから激動期に入ると思われますので、人材こそがホント必要ですよね。
「ハゲタカ」祭り!!
です。
うーん、その通りのぴったりな夏でございますね。
終了は残念ですね。
東京、もうちょっと頑張ってくれるかしらん…?
私はどうしても週末中心の通いになってますが、後悔ないようになるべく映画館に行きたいとこです。
投稿: nyan-chan2222 | 2009年7月 7日 (火) 18時50分
初めまして、ずっと読ませていただいてます。政治経済のこと含めて、目から鱗がバリバリと・・・笑
色々読ませていただいて、私なりに想うところが有りますので、恥かき承知で書いてみます。
ドラマの鷲津は救世主で、映画の鷲津が 破壊者(ここは敢えて宇宙のエントロピーを表すと言われている、破壊の神シヴァ!と言っときましょう。)
だって愛してるんですもの・・・・でっ、エントロピーって何ですかあ〜?
それ美味しいの?(^^;)ゞ
すみませんm(_ _)m
鷲津がシヴァで、劉ちゃんが救世主ならドラマの鷲津と同様に、死ななければならなかったんだと(仮死状態含む)、ストンと疑問が解けました。救世主イエスは人間の罪を背負って死なねばならない存在ですから・・・・
あと、劉ちゃんの本名ですけど、少なくとも鷲津さんと村田さんは知ってると思いますよ。敢えて公表して、またぞろマスコミの餌食にするのを良しとしなかったのだと思います。
鷲津は自分の生有る限り、劉の想いを背負って行くのでしょうし、それで良いのです。
鷲津が劉ちゃんの生家に行ったとき、模擬紙幣を燃やしていた人達、居ましたよね?
死者の為に色々な物を燃やしてあの世に送って遣るのは、基本、親族です。
あそこは他と隔絶した小さな村のようですから、姻戚関係も濃く、劉の身元が判らないはずは有りませんよ。
ただ、生家を突き止められなければ無理だったでしょうね。
さすがっ!!!鷲津さんいいエージェントをお持ちです(^▽^)
何だか支離滅裂になってきたので、この辺りで止めときます(^^;)ゞ
ブログ楽しみに拝見してます。
もう一言だけ・・・・
劉ちゃんには、アカマGTの模型を燃やしてあげたいな(T^T)
失礼しますっ!
投稿: ちいネエ | 2009年7月13日 (月) 07時31分
初めまして、ちいネエさま、ようこそ、拙ブログへ~!
シヴァ神ですか!
それは考えてもみませんでしたが、確かに破壊と創造(再生)ですね~。
「欧米ばかり見ていて、アジアを見ていないからだ、日本人!」とかインドのシン首相に叱られそうです(笑)
やっぱり、「ハゲタカ」って多方面からの解釈が可能な凄い作品ですね~!
10年経って観たら、まただいぶ違った解釈ができそうです!
劉の本当の通り名(というか、親がつけた名前)は、たぶん現地でわかっただろうな、というのは私も思いました。
な感じですが(笑))
でも村田さんが何も持ち帰らなかったんだから、公的記録に一切載ってないんだろうな、と思った次第です。
ただ、ちいネエさまのご指摘のように、もしかして村田さんの配慮かもしれませんね。
本当の名前は鷲津さんだけが知っていればいい、って感じで!(なんかちょっと
ちなみに、「劉一華」という名前は男性でも女性でもOKな名前だそうです。
「一華」は、日本ならさしずめ、「ヒロミ」とか「カオル」とかかな?と。「鈴木弘美」とか「佐藤薫」とかいう感じでしょうかね(笑)
また、調べていたら、中国たばこ工業公司の井岡山工場の工場長さん(2008年)が劉一華さんでした。北京オリンピックでトーチリレーに参加されたらしく、アタマの中でそういう映像(トーチを持ってたばこをふかす劉さん(玉山さん))が浮かんでこまりますた(爆!)
確かに、アカマGT模型を霊前にお供えしてあげたい、燃やしてあげたいですね(泣)
投稿: nyan-chan2222 | 2009年7月13日 (月) 17時17分
nyanさん今晩は(^o^)/
ハゲタカ関連(?)で情報です。
来年の大河、「龍馬伝」に大森南朋さんが武市半平太で御出演です。(嬉)
演出、音楽、ハゲタカそのままです。(^▽^)
武市半平太って、凄く素敵な人みたいですね?
今からバリ調べです。
では失礼しますっ!
投稿: ちいネエ | 2009年7月15日 (水) 02時05分
ちいネエさま、こんにちはでございます~!
見ました、見ました、ワタクシも!
ゆうべから今朝、騒いでました、うちでも(大笑)
なんか大森さんの出演は諦めてたんですよね~なんの根拠もなく(笑)
大馬鹿モノでしたね。
来年の楽しみができたので、今年の夏秋はすっとばしてもいいです(をい!!)
佐藤さんの音楽もすっごい嬉しいです。
ところで次記事にもアップしますが、常設掲示板を作ってみましたので、よろしかったらお立ち寄りくださいませ♪
投稿: nyan-chan2222 | 2009年7月15日 (水) 16時14分